ZX-10Rが納車された際、すぐに僕はグリップとステップを社外品へ交換しました。
イタリアのドミノというメーカーのグリップを装着していました。装着して2万キロほどをツーリングメインで使ってきた結果、純正品へ戻すことにしたのです。
人生、3度目のグリップ交換するタイミングを得ましたが、そろそろグリップ選びに関する考え方をハッキリまとめてみようと思います。
目次
純正に戻した背景と理由
肉厚な純正グリップに対して、ドミノのレースタイプという肉厚の薄いモノを装着していました。当時の僕は、肉薄なモノの方がいいだろ!と大して考えずに10Rへ装着しました。
10Rは間もなく3万キロに到達しそうですが、99%をツーリングに費やしてきた自分にとって、肉薄グリップはメリットよりデメリットの方が多かったように感じています。
メリットとしては、小径な方が確かにダイレクトなフィーリングを得ることができます。しかもグリップの表面にローレット(グリップ表面のブツブツのこと)が施されているため、グローブとグリップがピッタリ張り付く感じでした。
デメリットとして、手に振動が伝わりすぎてしまうことです。ロングツーリング中は、グリップの振動が酷くて手が痺れます。150~200kmほど走ると、いつもグリップを握る薬指と小指は感覚がなくなってました。また、肉厚から肉薄なグリップへ変更するということは、アクセルを開ける(グリップをひねる)力も純正の肉厚品に対し増さなければいけません。
社外品から純正グリップへ戻すまでの流れ
用途にあった肉厚なグリップを探すことにしました。社外品にも色々な形状や材質のグリップがあります。
形状では、指のカタチに合わせた形状だったり、表面にローレット(グリップ表面のブツブツ)があったり、します。材質は、表面がヌルテカ(純正っぽい)や、表面がサラサラ、または見た目が良いようにアルマイト(耐食性と着色目的)されたアルミ合金が組み込まれたグリップがあります。
種類の豊富さから、選ぶのに迷いましたが、ツーリングメインで使うためバランスが取れているであろう純正グリップへ戻すことにしました。
純正グリップがバランスを取れている理由

用途をツーリングとする自分にとって、バランスが良いグリップについて、考えてみました。バランスとは、用途においてグリップに求められる性能がどれだけマッチしているか?ということです。
グリップの厚み
肉厚が薄いとエンジン振動を、ダイレクトに手で感じることができます。また手で上半身を支えないといけないほど、激しいブレーキを際にグリップが潰れて手に反力を感じるまでの遊びも少ないです。
グリップの耐久性(ヘタリやすさ)にも影響すると思います。グリップの厚みが厚い方が、耐久性は高いはずです。
アクセルを開ける力にも影響するはずです。肉厚な方が肉薄よりアクセルを軽い力で開けることができます。これはモーメントで考えていて、グリップ中心から手が当たるまでの距離と、アクセルを回す力で計算されます。アクセルには、リターンスプリングと呼ばれている、アクセルが戻る方向へ常にテンション(引っ張る力)が働いています。肉厚が異なる社外グリップへ変更することは、このリターンする力と手でグリップを回転させる力の、メーカーが考えた良い関係を崩すことになります。
グリップの材質

見た目の質感への影響が大きいように思います。ドミノのグリップは購入時から、マット質感があって光沢がある周囲の部品に対して、いかにも社外品です!と主張しています。
もちろん滑りにくさも考慮してでしょうが、ツーリング用途の僕は、純正グリップでグリップとグローブが滑ることは皆無です。
純正品は交換が簡単
純正グリップは、社外品に対してアクセル側グリップを交換する手間が少ないです。社外グリップ交換においては、装着されているグリップを脱着する(カッターで切る等)し、社外グリップを装着する必要があります。
社外グリップへ交換する場合は、グリップをスロットル(樹脂のパーツ)へ圧入する作業となります。エアコンプレッサーがあれば一瞬で終わりますが、だいたいの人は自宅にそんな設備ありませんよね?速乾性のあるブレーキクリーナーを圧入するグリップへ吹きかけて圧入するテクニックもありますが、実際にはあまり効果が無いです。圧入が終わった後には手に豆ができると思います。
対してアクセル側の純正グリップは、ASSY(アッセンブリの略)状態での販売ですから、アクセル側はグリップを圧入する必要がありません。ワイヤー2本を引っ掛けるだけの作業です。5分あれば終わります。
残念ながらクラッチ側は、社外も純正もグリップをハンドルへ圧入する必要があります。
供給が安定している
10Rは長く乗りたいので、グリップはできるだけ同じモノを使っていきたいと考えています。社外品であれば、突然に販売を終了してしまう可能性があります。純正品は車両が販売終了してからも暫く発売されます。
10Rの純正アクセル形状を考察する




純正品は、コストと性能を追求していて、形状に意味があります。観察して気づいたことを書いてみます。(間違っていたらゴメンなさい。知ってる人はご教示ねがいます)
グリップに横に走るラインはグリップエンドに近づくほど太くなっています。グリップには主に薬指から小指にかけて荷重がかかっているわけです。激しいブレーキやアクセル操作によって、変形した肉厚部が、丁度この溝形状に収まることで、ライダーへグリップの変形の終わりを知らせているんだと思います。
またグリップ軸に対し、垂直な方向へ4本ライン(溝)が通っていますが、これは滑り止めワイヤーが通せる溝だと思います。
最後にハンドル近くに円周上に細かい斜めのラインが沢山通っていますが、これは何の効果があるのか分かりませんでした。
純正グリップを購入する方法
早速、純正グリップをWebike経由で購入してみました。手順はすごく簡単です。
「川崎 パーツリスト」とgoogleで検索すると、「★カワサキモータースジャパン パーツカタログ検索」がヒットします。川崎のバイクを所有していて純正部品の番号が知りたい時は、このページで純正部品の品番を無料で検索できます。検索するときは車種名と年式、またカウルを発注するときはカラーリングの呼び名を知っておく必要があります。

例えば、「ハンドルバー(Handlebar)」を選択すると、その部位の部品がバラバラになったイラストが表示されます。イラスト中の部品には品番(左グリップなら46075-0068)が割り振られていますので、それを「選択」していくだけです。
僕は純正グリップが欲しかったので、2つ品番を見積もりフォームへセットしました。
- 46019-0020;GRIP-ASSY,THROTTLE
- 46075-0068;GRIP,LH
「見積もりフォームへセット」とボタンを押すと、上記の画面に品番が並びます。「確認」というボタンを押すと、純正部品の金額を調べることができます。
純正グリップの値段は、合計で2,424円でした。社外のグリップも同じような値段で買えますが、きっとこの金額を参考に決めているんだと思います。
実際に交換したみた
さすが純正品です。社外品のようなカスタム感はありませんが、統一感がでました。別件ですが、先日ツーリングでヘマをやらかしたので、カウルに傷が沢山ついてしまいました。
近所の山道をドライブしてきましたが、肉厚になったグリップのおかげでエンジン振動は丁度良い感じになりました。やはり自分には純正品の方がマッチするようです。
まとめ
使用用途がツーリングメインな自分には、純正グリップがマッチするように感じました。また純正グリップを良く観察すると、意味のある良い形状をしているように思います。社外品だと広告のためにロゴが付いたりしているので、機能的に意味のない部分がどうしても出てきますから、純正品が形状にも優れているように思いました。
これからグリップを購入される方は、使用用途から本当に社外品へ変更する必要があるのか?少し考えて購入して欲しいと思います。